七福神は、日本人にとってとてもなじみの深い神さまです。
七福神巡りは、日本各地で盛んに行なわれています。
特に正月の松の内(1月15日まで)の間に七福神巡りをして、1年の開運招福のご利益を授かられる方がたくさんおられます。
このページでは、七福神についてと、それぞれの神さまについて紹介させていただきます。
神さまのは、神さまのことを知ってお詣りするのとそうでないのとでは、ご利益にかなりの違いがあります。
七福神のことを知って七福神巡りすると、益々開運招福のご利益のパワーアップが期待できます。
七福神の神さまの名前
- 恵比寿神(ゑびす・えびすしん)
- 大黒天(だいこくてん)
- 毘沙門天(びしゃもんてん)
- 弁財天(べんざいてん)
- 布袋尊(ほていそん)
- 寿老人(じゅろうじん)
- 福禄寿(ふくろくじゅ)
七福神に順番はある?
七福神の順番は、正式に決まっているわけではありません。
ただ、よく使われている順番としては、次の2種類があります。
七福神の順番その1
- 恵比寿
- 大黒天
- 毘沙門天
- 弁財天
- 布袋尊
- 寿老人
- 福禄寿
七福神の順番その2
- 恵比寿
- 大黒天
- 毘沙門天
- 弁財天
- 寿老人
- 福禄寿
- 布袋尊
よく見ると、布袋尊の順番が変わっているだけですね。
七福神巡りなどのお詣りについても、順番は特に決まっていません。
行きやすい順番や、授かりたいご利益によって、あなた独自の順番でお詣りしてくださいね。
また、七福神は、必ず7尊全てにお詣りしなければならないわけでもありません。
あなたが、お詣りしたいと思う神さまに参拝すれば、それだけでも構いません。
七福神巡りのご利益とは?
七福神にお詣りすると、『七難即滅 七福即成(しちなんそくめつ しちふくそくしょう)』のご利益があると言われています。
『七難即滅 七福即成』は、仁王般若経(にんのうはんにゃきょう)に説かれている一節です。
七難とは、太陽や月の異変、星の異変、火災、水害、風害、干ばつ、盗難などを言います。
七福とは、七難が消滅することで生じ、寿命、人望、正直、威光、財福、愛敬、大量などの福徳を言います。
チョッと難しい説明になったかもしれませんね。
七福神には、それぞれのご利益があるので、七福神巡りをすることで、たくさんの災厄から逃れて、多くのご利益が授かれます。
七福神のご利益を一般的な言葉で言うと、
- 金運招福
- 不老長寿
- 商売繁盛
- 五穀豊穣
- 家内安全
- 恋愛成就
- 学問成就
など、様々な現世利益成就のご利益があるとされています。
七福神は、金運や財運上昇のご利益のある神さまが、意外に多いのです。
というよりも、七福神の神さまはみんな、金運招福や商売繁昌など、金運アップのご利益を授けてくださいます。
七福神巡りをすれば、人間が欲しいと思うご利益は、全て授かれると言っても過言ではありません。
京都では、1月でなくても毎月7日に七福神巡りをすれば、さらにご利益が授かれると言われています。
2月でも3月でも7月でも10月でも7日にお詣りすれば、ご利益がアップするのです。
あなたも、都合の良いときに七福神巡りをして、ぜひ開運招福してくださいね。
恵比寿神(エビス神)はどんな神さま?
恵比寿神(エビス神)は、七福神では唯一の日本の神さまです。
エビス神は、神社によって
- 蛭子命(ヒルコノミコト)
- 事代主命(コトシロヌシノミコト)
- 少彦名命(スクナヒコナノミコト)
- 彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)
としてお祀りされています。
この中でも、ヒルコ命とコトシロヌシ命としてお祀りされている神社が、圧倒的多数です。
エビス神の漢字での表記は、恵比寿の他にも夷、戎、胡、蛭子、蝦夷、恵比須、恵美須など、たくさんあります。
何れも、えびす(ゑびす)と読みます。
エビス神は、右手に釣竿、左手に大きな鯛を抱えておられる姿で描かれていることが多いですね。
エビス神が持つ釣竿は、『釣りして網せず』として、足ることを知り欲を出さず、正直で清い心を表しています。
エビス神と言えば、『商売繁昌で笹もってこい。』という掛け声が有名ですね。
商売が繁昌してニコニコしている顔を、えびす顔とも言いますよね。
日本各地で商売繁盛、豊漁の神さまとして、とても人気のある神さまです。
エビス神は、耳が遠いと言われています。
本殿でお詣りした後、本殿の横や裏に回って銅鑼や壁板を叩いて、もう一度お詣りするという神社もあります。
ちなみに、上の写真は、京都ゑびす神社の本殿横です。
蛭子命(ヒルコ命)
蛭子命(ヒルコ命)は、イザナギ命とイザナミ命の御子神です。
天照大御神の兄神(姉神?)になります。
ヒルコ命は、3歳になっても立つことができず、葦船に載せて流されてしまいました。
ヒルコ命は、西宮に漂着して、海を司る夷三郎という神さまとなって、西宮にお祀りされたというものです。
ヒルコ命をエビス神としてお祀りする神社の代表は、西宮神社です。
事代主命(コトシロヌシ命)
事代主命(コトシロヌシ命)は、大国主命の御子神です。
天照大御神の使者に、大国主命が国を譲ってほしいと交渉された時、スグに同意された神さまです。
国譲りの交渉の時、コトシロヌシ命は、釣りに行って留守でした。
エビス神が、釣竿を持っているのは、このことが由来だとも言われています。
同意した後、コトシロヌシ命は、船を踏んで傾けて、天ノ逆手を打って青柴垣に変えて隠れてしまわれました。
天ノ逆手が、どのようなものかは諸説があって、明らかではありません。
また、コトシロヌシ命は、初代天皇である神武天皇の皇后の父神でもあります。
現在でも、天皇を守護する神さまとして、宮中の八神殿にお祀りされている重要な神さまです。
大黒天が、大国主命と習合して同一神とされたことから、エビス神は大黒天と親子の神さまだとされました。
コトシロヌシ命をエビス神としてお祀りする神社の代表は、今宮戎神社、京都ゑびす神社です。
恵比寿神のご利益
- 商売繁昌
- 除災招福
- 五穀豊穣
- 大魚守護
- 交通安全
恵比寿神のご真言
- おん いんだらや そわか
大黒天(だいこくてん)はどんな神さま?
大黒天は、頭には頭巾をかぶって、右手に打ち出の小槌、左手に大きな袋を持って、二俵の米俵の上に乗っておられます。
大きな福耳で、ふくよかで優しいお顔立ちの神さまで、いかにも財福の神さまという印象を受けます。
しかし、大黒天は、もともとインドのヒンドゥー教のシヴァ神の化身で、マハーカーラという破壊と戦闘と富貴(財福)の神さまです。
『マハー』は、偉大なる(大)という意味、『カーラ』は、暗黒(黒)という意味です。
大黒(ダイコク)が、大国に通じるため、出雲大社や因幡の白うさぎで有名な、大国主命と習合して、同一神とされました。
大国主命の別名の大物主命(オオモノヌシ命)が、物を司る神様であることから、より一層財福の面が強調されました。
財宝、福徳開運の第一人者の神さまとして、広く信仰されるようになりました。
大黒天のお使いはネズミなので、よくネズミと共に描かれたりしています。
打ち出の小槌は、お金や財宝だけでなく、何でも望むものを出してくれる魔法の小槌です。
一寸法師は、鬼退治の後、打ち出の小槌で背を高くしてもらいました。
一寸(約3㎝)しかなかった身長を、6尺(約180㎝)にまで高くしました。
そして、さらに打ち出の小槌で金銀財宝を出して、末永く姫と幸せに暮らしたということです。
こんな打ち出の小槌があれば、人生思うがままですね。
先ほど、エビス神の所でも書きましたが、大黒天とエビス神は親子とされ、よく一組としてお祀りされたり描かれたりします。
どちらも、商売繁昌や財運・金運アップのご利益があるので、商売人の方に人気がある神さまです。
でも、大黒天のご利益は、金運や商売繁昌だけでなく、人生の幸福全般に及びます。
大黒天のご利益
- 五穀豊穣
- 子孫繁栄
- 出世開運
- 商売繁昌
- 家産増進
- 福徳開運
大黒天のご真言
- おん まかきゃらや そわか
毘沙門天(びしゃもんてん)はどんな神さま?
毘沙門天は、もともとは、クベーラというインド神話の財宝の神さまです。
毘沙門天は、インドから中国に伝わるときに、武神としての性格が強くなりました。
仏教では、仏教の世界観の中心となる須弥山の中腹で、四天王の一尊として北方を守護している神さまです。
毘沙門天は、四天王のリーダー的存在で、強いことこの上ない神さまです。
お釈迦さまの遺骨(仏舎利)が入った宝塔を、いつも手に持っています。
お釈迦さまの遺骨という、仏教にとって最高に大切なものを預かっているのですから、その実力のほどが分かります。
毘沙門天と言えば、上杉謙信が、自分は毘沙門天の生まれ変わりだと固く信じていました。
上杉謙信は、越後の虎とも言われる戦国時代最強の武将です。
生涯に約70回の戦をしましたが、敗戦はたったの2回。
まさに、武神毘沙門天の生まれ変わりのような強さですね。
でも、しつこいようですが、毘沙門天は、もともとは財宝の神さまなので、金運アップのご利益も半端ではありません。
毘沙門天のご利益
- 財運招福
- 武道成就
- 降魔厄除
- 家内安全
- 夫婦和合
- 大願成就
- 安産
- 勝負運
毘沙門天のご真言
- おん べいしら まんだや そわか
弁財天(べんざいてん)はどんな神さま?
弁財天は、七福神の紅一点で、ものすごく美しい女神さまです。
弁財天は、もともとヒンドゥー教のサラスヴァティーという河の神さまです。
日本では、市杵嶋姫命(イチキシマヒメ命)と同一神とされました。
どちらも、最高に美しい女神さまとして有名です。
イチキシマヒメ命は、広島県の宮島にある厳島神社や、福岡県の宗像大社にお祀りされる、宗像三女神と言う三姉妹の神さまの一柱です。
弁財天は、川の流れの音から、音楽や技芸の神さまとされました。
また、財宝を司る福徳の神さま、多くの武器を手に持つ戦闘の神さまという性格もあります。
その美しさから、愛敬や恋愛の神さまでもあり、男性からも女性からも親しまれている神さまです。
日本では、財宝の神さまの面が強調され、もともとの『弁才天』を、最近では『弁財天』と表すことが増えています。
銭洗い弁財天としても、各地でお祀りされています。
弁財天のご利益
- 財運招福
- 恋愛成就
- 学徳成就
- 諸芸上達
- 福徳施与
- 愛敬
- 縁結び
弁財天のご真言
- おん そらそばていえい そわか
布袋尊(ほていそん)はどんな神さま?
布袋尊は、契此(かいし・けいし)という唐の時代の中国に、実在した僧です。
また、弥勒菩薩の化身とも言われています。
布袋尊は、人々からの施しは、どんなものでも受けて、大きな袋に入れていました。
その大きな袋を、『堪忍袋』と言います。
『堪忍袋の緒が切れる』という、堪忍袋のことです。
布袋尊は、いつも笑顔でニコニコとして、袋から財宝を取り出して人々に分け与えていました。
布袋尊は、予知能力がすごく、その占いは外れることがなかったと言われています。
布袋尊のご利益
- 金運招福
- 笑門来福
- 夫婦円満
- 子授け
- 家運隆盛
- 商売繁昌
布袋尊のご真言
- おん まいたれいや そわか
※弥勒菩薩のご真言と同じです。
寿老人(じゅろうじん)はどんな神さま?
寿老人は、中国の道教の神さまです。
南極星の化身とされています。
南極星は、北極星の対ではなくて、竜骨座(りゅうこつ座)の1等星で、カノープスという星です。
カノープスは、星の中では最も明るいシリウスの次に明るい星です。
南極星は、めったに見ることはできませんが、南の地平線すれすれに表れることがあります。
中国の歴史書である史記には、南極星が現れると天下が治まると書かれています。
寿老人は、頭には頭巾をかぶって、経典をぶら下げた杖と桃を持ち、鹿を連れています。
寿老人が与える寿命は、単なる長生きではなく、富を伴った長寿です。
お金持ちで健康で長生きなら、言うことありませんね。
寿老人のご利益
- 幸福長寿
- 家庭円満
- 延命長寿
- 福徳智慧
- 諸病平癒
寿老人のご真言
- おん ばざら ゆせい そわか
- うん ぬん しき そわか
福禄寿(ふくろくじゅ)はどんな神さま?
福禄寿は、寿老人と同じ南極星の化身とされていて、寿老人と同一神とも言われています。
福禄寿の特徴は、長い頭です。
福禄寿の頭は、身長の半分ほどもあります。
でも、身長は極めて低く、三尺(約90㎝)しかありません。
ということは、顔(頭部)が45㎝、胴と足で45㎝という、非常にバランスの悪い神さまですね。
また、長寿のシンボルである鶴と亀を従えています。
福禄寿は、道教で求められる3つの願いを具現した神さまです。
3つの願いとは、
- 実の子に恵まれる子孫繁栄(福)
- 身分や財産(禄)
- 健康で長寿(寿)
のことを言います。
人間の望みを、全て兼ね備えた神さまですね。
福禄寿のご利益
- 財運招福
- 延命長寿
- 立身出世
- 招徳人望
- 子孫繁栄
福禄寿のご真言
- おん まかしリ そわか
- うん ぬん しき そわか
七福神の由来(はじまり)
七福神の信仰のきっかけは、比叡山延暦寺で有名な最澄(伝教大師)が、台所の神さまとして大黒天をお祀りしたことから始まります。
それが、徐々に広がっていきました。
東寺の建物は、台所の近くに建物の最も中心となる柱があり、そこに大黒天をお祀りすることが多かったために、大黒柱という言葉が生まれたとも言われています。
ですので、最初から、今の七福神だったわけではありません。
大黒天に、エビス神や毘沙門天が加わっていき、徐々に神さまの数が増えていきました。
七福神が七尊になったのは、仁王般若経の「七難即滅(しちなんそくめつ)、七福即生(しちふくそくしょう)」から始まったという説があります。
室町時代の末期ごろから、金運や健康、長寿、家内安全、豊作、大漁、人徳などの福を授けてくださる神さまとして、信仰されるようになりました。
七福神の数え方
人間の数え方は、1人、2人と数えます。
諸説はありますが、ウサギは1羽、2羽。
神さまは、一柱(ひとはしら)、二柱(ふたはしら)ですね。
では、七福神はどうなんでしょう。
ネットで検索すると、七福神は神さまなので、一柱、二柱と数えるという記事がかなり多い様に思えます。
でも、七福神は神さまなのでしょうか?
少なくとも、神社にお祀りされている神さまではありません。
というのは、京都では、例えば
- 泉涌寺七福神めぐり(泉山七福神めぐり)
- 京の七福神めぐり
- 都七福神めぐり
- 京都七福神めぐり
など、数多くの七福神巡りがあります。
後で、七福神巡りの神社やお寺を書きますが、七福神をお祀りしているのは、ほとんどがお寺です。
例外は、エビス神の恵比須神社くらいです。
神社でお祀りしていないのに、七福神というのは神さまなので一柱、二柱というのは変じゃないかなと思いました。
大黒天、弁財天、毘沙門天なども、仏教の護法神(天部の仏)であって、日本の神道の神さまではありません。
それで、七福神巡りに入っておられる複数のお寺に、聞いてみました。
答えは、2につにわかれました。
一つは、仏さまと同じように、一尊(いっそん)、二尊または、一仏(いちぶつ)、二仏と数える。
もう一つは、そもそも、モノではないので数えない。
というものでした。
残念ながら、何が正しいのかという明確な答えはありませんでしたが、多数派は、一尊か一仏でした。
このような理由から、当サイトでは七福神の数え方を、一尊、二尊とさせていただきました。
京都の七福神めぐり
京都には、いろいろな七福神巡りのコースが、設定されています。
私が良く見聞きするのは、都七福神めぐりと泉涌寺七福神めぐりです。
それぞれのコースについては、改めて別のページで紹介させていただく予定です。
ここでは、七福神巡りの名称と、神社・お寺のみを紹介させていただきます。
泉涌寺七福神めぐり(泉山七福神めぐり)
- 即成院(福禄寿)
- 戒光寺(弁財天)
- 新善光寺(愛染明王)
- 観音寺(恵比須神)
- 来迎院(布袋尊)
- 雲竜院(大黒天)
- 総本山泉涌寺(楊貴妃観音)
- 悲田院(毘沙門天)
- 法音院(寿老人)
京の七福神めぐり
- 毘沙門堂(毘沙門天)
- 長楽寺(布袋尊)
- 恵美須神社(エビス神)
- 松ヶ崎大黒天(妙円寺)(大黒天)
- 三千院(弁財天)
- 護浄院(福禄寿)
- 革堂(行願寺)(寿老人)
都七福神めぐり
- 恵美須神社(エビス神)
- 松ヶ崎大黒天(妙円寺)(大黒天)
- 東寺(毘沙門天)
- 六波羅蜜寺(弁財天)
- 赤山禅院(福禄寿)
- 革堂(行願寺)(寿老人)
- 黄檗山萬福寺(布袋尊)
京都七福神めぐり
- 松ヶ崎大黒天(妙円寺)(大黒天)
- 妙音堂(弁財天)
- 廬山寺(毘沙門天)
- 遣迎院(福禄寿)
- 護浄院(エビス神)
- 革堂(行願寺)(寿老人)
- 大福寺(布袋尊)
天竜寺七福神めぐり
- 三秀院(大黒天)
- 弘源寺(毘沙門天)
- 慈済院(弁財天)
- 松厳寺(福禄寿)
- 永明院(恵比須神)
- 寿寧院(不動明王)
- 妙智院(宝徳稲荷)
これ以外にも、まだまだ多くの七福神巡りのコースがあります。
いかに、七福神が、人々に親しまれているかがよく分かります。
あなたも、ぜひ七福神巡りで、たくさんのご利益を授かってくださいね。