京都の東山区にある泉涌寺(せんにゅうじ)は、天皇家からも篤く信仰されている真言宗のお寺です。
天皇家の菩提寺として、御寺泉涌寺(みてらせんにゅうじ)と呼ばれています。
その泉涌寺の塔頭で、毎年成人の日に、泉山七福神巡り(せんざん しちふくじんめぐり)が行われます。
平成30年は、1月8日(月・祝)午前8時~午後4時に行われましたが、京都はあいにくの雨でした。
七福神巡りとご利益
七福神の信仰は、室町時代に京都で始まったと言われています。
七福神は、本来『しちふくじん』と読みます。
でも、京都では、『ひちふくじん』と訛って言います。
地名も、七条(しちじょう)は、『ひっちょぅ』と訛ります。
ごめんなさい。
どうでもいいことに、話がそれました。
七福神に話を戻します。
七福神は、
- 恵比寿神(えびすしん)
- 大黒天(だいこくてん)
- 弁財天(べんざいてん)
- 毘沙門天(びしゃもんてん)
- 布袋尊(ほていそん)
- 福禄寿(ふくろくじゅ)
- 寿老人(じゅろうじん)
という縁起の良い七尊の福の神です。
七福神にお詣りすると、『七難即滅、七福即生』のご利益があり、7つの災難を除き、7つの福を授かると言われています。
七福神巡りは、京都以外にも全国各地でそれぞれにコースが設定されて、いずれも多くの参拝者でにぎわっています。
泉山七福神巡りについて
泉山七福神巡りは、七福神をお祀りする泉涌寺の塔頭7ヵ寺と、番外として愛染明王の新善光寺、楊貴妃観音の泉涌寺本坊の合計9ヵ寺を巡ります。
先ほども言いましたが、七福神信仰は、京都発生とされています。
その中でも、泉山七福神が、七福神巡りの起源だと言われています。
泉山七福神巡りは、毎年成人の日に行われます。
毎年決まった日に行われるので、京都以外からもたくさんの方がお参りに来られています。
泉山七福神巡りの特徴は、どこの塔頭の住職もとても親切で、質問をしても愛想よく受け答えをしてくださいます。
今回も、いろいろなことを教えていただきました。
また、お粥やゆず茶なども無料で、振舞われています。
外が寒いので、とっても暖かくほっこりとして、おいしくいただきました。
泉山七福神巡りの順序
泉山七福神巡りは、お詣りする順番が決まっています。
まず最初に、即成院で福笹(無料)を授かります。
お詣りする順番は、
- 即成院の福禄寿
- 戒光寺の弁財天
- 新善光寺の愛染明王
- 観音寺の恵比寿
- 来迎院の布袋尊
- 雲龍院の大黒天
- 泉涌寺本坊の楊貴妃観音
- 悲田院の毘沙門天
- 法音院の寿老人
となっています。
それぞれの塔頭で、福笹につける吉兆と言われる縁起物を授かっていきます。
吉兆は、300円とか700円のものなどがあります。
福笹以外には、色紙(1,000円)があり、色紙にそれぞれの塔頭で、御朱印(300円)をいただきます。
私は、色紙に御朱印をいただくことにしました。
福笹にしようか迷ったのですが、雨が降っていたことと、前日に、伏見の金札宮の寶惠駕籠(ほえかご)で、エビス神の福笹を授かったので色紙にしました。
それでは、七福神と番外の2ヵ寺のご利益と真言を、泉山七福神巡りの順に書いていきます。
即成院の福禄寿とご利益
泉山七福神巡りは、即成院から始まります。
即成院は、泉涌寺の総門の手前にあります。
七福神巡りの福笹(無料)や色紙(1,000円)は、即成院で授かります。
また、前年の福笹なども、即成院に納めてくださいね。
即成院には、福禄寿(ふくろくじゅ)がお祀りされています。
福禄寿は、子宝(実子)、財産、健康長寿の神さまとして、広く信仰されています。
背が低いのに頭が長く、長寿のシンボルである鶴と亀を連れています。
福禄寿のご利益
- 延命長寿
- 幸福
- 財運招福
- 立身出世
- 招徳人望
- 子孫繁栄
- 富貴繁栄
福禄寿の真言
- うん ぬん しき そわか
戒光寺の弁財天とご利益
戒光寺には、弁財天(べんざいてん)が、お祀りされています。
弁財天は、厳島神社や宗像大社なとにお祀りされている市杵島姫命(イチキシマヒメ命)と、同一神とされることもあるとても美しい女神さまです。
戒光寺の弁財天は、秘仏なので、普段は厨子の扉は閉じられていて、直接拝することはできません。
戒光寺の弁財天は、非常にご神力が強いので、厨子の扉が閉じられていて丁度良いパワーだと言われています。
でも、泉山七福神巡りの日は、多くの方に多くのご利益を授けていただこうということで、特別に公開されています。
あなたも、ぜひ直接弁財天のお姿を拝して、強力なパワーのもと、ご利益をたくさん授かってください。
弁財天のご利益
- 商売繁盛
- 芸能上達
- 恋愛成就
- 学徳成就
- 諸芸上達
- 福徳施与
- 金運招福
- 弁舌上達
弁財天の真言
- おん そらそばていえい そわか
新善光寺の愛染明王とご利益
新善光寺は、七福神ではありませんが、番外として愛染明王にお参りします。
愛染明王は、愛欲や執着心などの人間の煩悩を、悟りに変えてくださる仏さまです。
愛染明王の縁結び、良縁成就、結婚成就、恋愛成就、夫婦円満などの恋愛に関するご利益は、仏さまの中でも最強とされています。
金運アップはもちろん、恋愛運アップのご利益を願う女性は、ぜひともお参りしたい仏さまですね。
愛敬で人気が出るようにと、芸能人や水商売の女性からも厚く信仰されています。
また、愛染が、藍染めにつながることから、染物屋さんやアパレル関係の方からも信仰されています。
愛染明王のご利益
- 無病息災
- 商売繁昌
- 社運隆昌
- 招福開運
- 敬愛和合
- 延命
愛染明王の真言
- おん まからぎゃ ばぞろしゅにしゃ ばざらさとば じゃく うん ばん こく
ちょっと長くてヤヤコシイですが、ご利益は半端ないので、ぜひ覚えたい真言です。
私は、アホなので、なかなか覚えられずに、間違わずに言えません。
観音寺の恵比寿神とご利益
観音寺は、恵比寿神(えびすしん)がお祀りされています。
エビス神は、関西では『えべっさん』と、親しみを込めて呼ばれています。
エビス神は、七福神の中で、唯一日本生まれの神さまです。
右手に釣竿、左手に鯛を持っている姿で描かれている神さまです。
『商売繁昌で笹もってこい』と、十日ゑびす大祭が各地で行なわれ、商売繁盛を願う人で溢れかえるほどの人気です。
恵比寿神のご利益
- 大魚守護
- 社業繁栄
- 海運守護
- 商売繁盛
- 除災招福
- 五穀豊穣
- 立身出世
恵比寿神の真言
- おん いんだらや そわか
来迎院の布袋尊とご利益
来迎院には、布袋尊(ほていそん)がお祀りされています。
布袋尊は、中国に実在した契此(かいし)という禅僧です。
受けたお布施は、何もかも大きな袋に入れて持ち歩いていたことから、布袋と呼ばれるようになりました。
契此(かいし)は、超能力があり、雪の中に寝ていても濡れることなく、占いは外れることがなかったそうです。
布袋尊の袋は、不満や嫌なことをため込む堪忍袋だと言われています。
布袋尊は、弥勒菩薩の化身とされています。
三宝大荒神は、火と竈(かまど)の神さまで、よく台所にお祀りされている神さまです。
昔、京都では、布袋尊の人形を、台所にお祀りして家内安全祈願をしていました。
人形は、毎年少しずつ大きなものに替えていきました。
来迎院は、三宝大荒神(さんぼうだいこうじん)座像でも有名なお寺です。
布袋尊のご利益
- 知足福
- 家業繁盛
- 千客万来
- 家運隆盛
- 家庭円満
- 金運招福
布袋尊の真言
- おん まいたれいや そわか
弥勒菩薩の化身なので、真言も弥勒菩薩と同じです。
雲龍院の大黒天とご利益
雲龍院は、大黒天(だいこくてん)をお祀りしています。
通常の大黒天の像や絵は、大きな袋と打ち出の小槌を持って、米俵の上におられるお姿です。
でも、雲龍院の大黒天は、大きな口を開けて、蓮の上を走っているようなお姿です。
その姿から『走り大黒天』と言われています。
少しでも早く、あなたに福を授けるために、走って来てくださるのだそうです。
雲龍院の大黒天にお参りすれば、早く福が授かりますよ。
大黒天は、もともと戦闘・財福・冥府・破壊を司る恐ろしい神さまです。
日本では、出雲大社の大国主命(オオクニヌシ命)と、同一神とされるようになりました。
そんなことから、日本での大黒天は、ニコニコとした富貴な顔で、財福のご利益が強調されています。
大黒天のご利益
- 五穀豊穣
- 財運福徳
- 出世開運
- 商売繁盛
- 福徳円満
- 子孫愛育
- 家産増進
- 子孫繁栄
大黒天の真言
- おん まかきゃらや そわか
泉涌寺本坊の楊貴妃観音とご利益
泉涌寺本坊には、楊貴妃観音(ようきひかんのん)と言われる、とても美しい観音菩薩がお祀りされています。
楊貴妃と言えば、クレオパトラ、小野小町と並ぶ世界三大美人の一人です。
その名にふさわしく、楊貴妃観音は、細面のとても美しいお顔をされています。
関西で言う、『別嬪(べっぴん)さんやわ~~♪』という感じですね。
ちなみに、男性のイケメンに対しては、『シュッとしたはる』と言います。
楊貴妃観音は、その美しさから、良縁祈願、縁結び、美人祈願、安産、などのご利益を求めて、多くの女性がお参りに来られています。
観音菩薩のご利益
- 苦難除去
- 現世利益
- 病気平癒
- 勉学向上
- 才能賦与
- 良縁祈願
- 厄除開運
- 諸願成就
- 子授け
観音菩薩の真言
- おん あろりきゃ そわか
悲田院の毘沙門天とご利益
悲田院(ひでんいん)には、毘沙門天(びしゃもんてん)がお祀りされています。
悲田院の歴史は古く、聖徳太子が、身寄りのない老人や孤児を救うために開かれたのが始まりです。
毘沙門天は、仏教の中心である須弥山を守る四天王の一尊です。
七福神の中では、唯一の武神です。
毘沙門天が左手に持つ宝塔には、お釈迦さまの遺骨が入っているとされています。
そんな大切なものをお守りするのですから、毘沙門天はさすがに天下無双の四天王のリーダーです。
毘沙門天は、もともとインドでは、財宝をもたらす神さまでした。
日本でも戦闘と財運の神さまとして、広く信仰されています。
悲田院からは、京都タワーはじめ京都市内が一望でき、とっても見晴らしの良いきれいな景色が見えます。
毘沙門天のご利益
- 戦勝祈願
- 財宝自在
- 鎮護国家
- 財運福徳
- 武道成就
- 降魔厄除
- 家内安全
- 夫婦和合
- 商売繁盛
- 必勝祈願
- 霊祟除災
毘沙門天の真言
- おん べいしら まんだや そわか
法音院の寿老人とご利益
法音院(ほうおんいん)には、寿老人(じゅろうじん)がお祀りされています。
寿老人は、頭の長い仙人で、巻物をくくった杖を持って、鹿を連れています。
寿老人は、福禄寿(ふくろくじゅ)と同一神とされることもあります。
寿老人のご利益
- 幸福長寿
- 家庭円満
- 延命長寿
- 福徳智慧
- 諸病平癒
- 富貴繁栄
- 子孫繁栄
寿老人の真言
- うん ぬん しき そわか
福禄寿と同じですね。
七福神巡りに行ってみて
泉山七福神巡りに行って感じたことは、各塔頭の方の一生懸命なおもてなしです。
毎年の恒例なので、多くの方が参拝に来られるのですが、一人一人に愛想よく受け答えをされています。
ある伏見のお寺の住職のように、御朱印をもらいに来た人に、『こんなもんだけに来やがって!』と言う方は居られません。
そのせいか、参拝されている方も、穏やかな気持ちで、七福神のご利益を授かっておられるようでした。
吉兆の授与所でも、皆さん愛想よく笑顔で応対されていました。
お参りされている方の年齢層は、かなり広く、20代、30代の方から、80代の方も大勢おられました。
ほとんどが坂道なので、年配の方には少ししんどいかもしれません。
私の万歩計では、約6,500歩でした。
写真を撮ったり、本堂に上がらせていただいたりしたので、七福神だけのお詣りなら5,000歩くらいかもしれません。
あいにくの雨でしたが、泉山七福神巡りで、気持ちは晴れやかになりました。
私は、金運アップ、家内安全、家庭円満など、様々なご利益をたくさんいただけたと思います。
お蔭さまで、今年はお金儲けも順調に、家族も健康で、家庭も平和な良い年になりそうです。
自動車で行くおススメの時間帯
- 9時30分から10時前がオススメ
泉山七福神巡りは、午前8時から開始されます。
東大路通(東山通)から泉涌寺に続く泉涌寺道は、細い道なので、泉山七福神巡りの日は、自動車が渋滞します。
また、総門をくぐると、さらに道が細くなります。
その上、七福神巡りの参拝者で、自動車の通行は大変渋滞します。
そんな中で、自動車の渋滞も泉涌寺の駐車場も、比較的空いている時間がありました。
駐車場も、何台もの空きスペースがありました。
午前9時30分頃から10時ころまでの間です。
ちょうど、朝一番からお参りになった方が、帰られる時間になります。
午前10時を少し回ると、自動車の渋滞がひどくなっていました。
私は、午前10時45分頃に帰ったのですが、東大路通から新善光寺辺りまで、これからお参りされる方の自動車で渋滞していました。
少しでも、お参りされるときの参考になれば幸いです。
泉涌寺と泉山七福神のアクセス
ここでは、泉山七福神巡りで最初に行く即成院までのアクセスを紹介します。
最寄りの駅は、京阪電車とJR奈良線の東福寺駅です。
- 京阪電車東福寺駅 徒歩9分
- JR奈良線東福寺駅 徒歩9分
- 市バス泉涌寺道 徒歩4分
東福寺駅と言えば、紅葉で有名な東福寺と同じ駅で降ります。
紅葉シーズンは、東福寺に紅葉を見に行く人で、駅のホームに人が溢れかえっています。
改札が一つなので、なかなか出られないのです。
ホームから、人が溢れて、線路内にまで落ちそうな混雑になります。
そのため、京阪電車が発車できずに、終日ダイヤが乱れます。
大変な騒ぎです。
数年前までは、そんなことはなかったのですが・・
泉涌寺は、そんな時でもひっそりとしていますが、泉涌寺の紅葉も結構いいもんですよ。
でも、東福寺駅の改札から出られないので、電車で行くのはちょっと危ないですね。
なので、紅葉シーズンに泉涌寺に行くなら、
- 京阪電車七条駅下車⇒七条京阪前から市バス(208乙系統)⇒泉涌寺道下車
が、いいかもしれません。
通常なら、バスで七条京阪前から泉涌寺道まで約5分です。
紅葉シーズンは、道も混んでいますが・・
即成院
京都市東山区泉涌寺山内町28
戒光寺
京都市東山区泉涌寺山内町29
新善光寺
京都市東山区泉涌寺山内町31
観音寺
京都市東山区泉涌寺山内町32
来迎院
京都市東山区泉涌寺山内町33
雲龍院
京都市東山区泉涌寺山内町36
泉涌寺本坊楊貴妃観音
京都市東山区泉涌寺山内町27
悲田院
京都市東山区泉涌寺山内町35
法音院
京都市東山区泉涌寺山内町30